ファイルに関する違い
これまでにロイロノートとClassroomについて、システムの作りの上から分析を試みてきましたが、今一度、ザックリとそれぞれの特徴を示してみます。
まずは、ファイル(ロイロノートではカード)の扱いについて違いを見てみます。
Classroomは、本体にあまり機能を持たず外部のアプリに連携しアプリがファイルを生成する仕組みになっています。但し、Jamboardについては連携しておらずJamboardで作成したファイルをClassroomで追加することにより使用可能としています。
対するロイロノートは内部に全ての機能を持ち完結しています。他の形式のファイルを取り込むことはできません(写真は除く)。
使いやすさ優先のロイロノートに対し、Classroomは汎用性を重視していると考えられます。
長所と短所
もう、結論じみた話に入っていきます。前段としてそれぞれの長所と短所をまとめてみました。
Classroom
Classroomの長所
- 1つのファイルをクラス内で共有し更新可能
これはClassroomの長所というより周辺アプリによる - 多様なファイルを追加可能
ファイルの受け渡しをするという用途でも活用可能
但し、セキュリティ的に問題となる可能性があり運用上の制約を定めたほうが良いかもしれない - ストリームによるクラス内のコミュニケーションが可能
SNSの練習台としてとらえることも可能
Classroomの短所
- 「クラス」の下の階層が無い
クラスを大きく括ると、クラス内の投稿が増えて煩雑になる
クラスを小さく括ると、クラスが増えて煩雑になる - 外部のアプリを多用する
アプリの使い分けをする必要がある - Jamboardや写真などよく使うと思われるアプリが連携していない
独立してアプリを立ち上げ保存したファイルをClassroomで追加する必要がある
ロイロノート
ロイロノートの長所
- 多様な種類のカードを統一的な操作で使用可能
ロイロノート最大の特徴 - 先生の権限で生徒の使用を制限可能
授業を進めやすくするための機能であり特に小学校では有効 - 視覚的で分かりやすいユーザーインターフェース
分かりやすく覚えやすい
ロイロノートの短所
- カードを共有して編集する機能が無い
グループディスカッションなどは難しい - カードはロイロノート独自仕様のため他のアプリで使用できない
卒業後に活用することは困難
ただしPDFに出力することは可能 - ビデオ会議に対応していない
これができると完璧だが・・・Zoomと協業して連携したら良いのに・・・
(好き勝手言ってスミマセン)
棲み分け案
以上のことからロイロノートとClassroomをどのように棲み分けしたら良いか考察してみます。あくまでも私の私見ですので参考程度に留めてください。
また、このブログでは小中学校における使用を前提にしていますので、高校や大学では違った見方になるであろうことをご承知おきください。
それでは私の独断でズバッと言い切っちゃいます。
小学校編
学年 | お勧めの使い方 |
低学年 | ロイロノートのみ使うことをお勧めします まずはロイロノートに慣れることからスタートになるでしょう |
中学年 | ロイロノート+Jamboardの使用をお勧めします Jamboardで共有して使用する際は大騒ぎになることが予想されますがまずは慣れることからスタートです |
高学年 | ロイロノート+Jambordの使用をお勧めします
高学年になったら卒業までにタイピングができるよう練習すべきですが、それはロイロノートやClassroomの範疇外ですので別アプリで練習をしてもらうことになるでしょう タイピングができる人からロイロノートのカードで文字入力をしていったら良いでしょう |
ロイロノートは授業支援のための十分な機能を備えているので、まずはロイロノートに慣れるところから始めるのが良いと考えます。
Jamboardは、Classroomと連携したアプリではないのでちょっと反則入ってますがいいことにしときます。
Meetにつては使う場面が想定できないので言及はしません。自宅からリモートという場面があるかもしれませんが、いろいろな意味で成立するとは思えないので。
また、先生がロイロノートやClassroomでフォームを作成して質問や課題を出す機能があり面白いのですが、どれだけ実用性があるのか疑問です。生徒が作成するのであれば何か面白いことが出来そうですが、小学生には難しい気がします。
中学校編
学年 | お勧めの使い方 |
全学年 | 授業ではロイロノートを中心に使うことをお勧めします
グループで検討する場面などでJamboardの使用が想定されます ディスカッションの場などでClassroomのストリームを使ってコメントを出し合うなどが想定されます 生徒がロイロノートやFormsでフォームを作成して生徒間でアンケートや問題を出すなどが想定されます 長期の休みや自宅待機になった場合などはドキュメントやスライドなどで資料を作成することを推奨すると良いと思います。この際、いきなり使わせるのは無理があるので授業で教えておく必要があります |
3年 | 卒業間近になったらロイロノートのカードをPDF化してGoogle DriveにUPし自宅からPCに取り出すと良いでしょう |
中学生になればタイピングもある程度可能になっているという前提で上記のように考えます。
ここでもロイロノート中心で、Classroomは隙間を埋める役割としています。ロイロノートを避けてClassroom中心に授業を行うことも可能かもしれませんが労多くしてXXXなことにならないようお気を付けください。
おわりに
散々なことを書きましたが、正直なところ先生や生徒たちが実際に使ってみてどうなのかわかりません。Classroomサイコーという人も中にはいるでしょう。
PCを使い慣れた人なら「どっちでもいいよ」と言いそうです。
まあ、そうなのですが慣れない人こそがGIGAスクールの中心にいるべきで、そのために最もよい手段を提供すべきでしょう。
生徒たちがPCを使う目的が、授業の活性化とICTの習得という二つであるとするなら次のように捉えられるでしょう。
- 授業の活性化という面では、ロイロノートが優れていると言っていいでしょう。
- ICTの習得という面では、Classroomとその周辺アプリを使いこなしてこそ、と言えるのかもしれません。
ですので、この記事では、ロイロノートから徐々にClassroomへという流れを意識して記載しました。
いづれにしても、PCなんてただの道具です。
小難しいことも書きましたが、結局のところ、楽しくやればいいんじゃない? って思ってます。